【目次】
- 甲府市で操業している理由
- 会社の特徴
- 企業風土
- 社員教育
- 人材育成
- 「こうふ開府500年」に向けての思い
- 販路の拡大、海外市場に目を向けて
- これからの甲府市のジュエリー業界について
- 会社の未来について
甲府市で操業している理由
私は、生まれも育ちも甲府なので、あまり意識したことはないですね。
甲府は宝石貴金属の生産量も出荷量も日本一です。日本全体の少なくとも3分の1は甲府で作られているでしょう。
集積産地といいますが、ジュエリーを作るには、何が必要だと思いますか?
「素材」、「デザイン」、「職人」、「流通」です。
甲府は水晶から始まって宝飾産業が地場産業として息づいています。その素地も含めて宝飾産業にとって必要な条件が揃っていることが一番の理由だと思います。
もし自分が他県に生まれていたらジュエリーを手掛けているだろうかと思いますね。
もちろん東京や埼玉にもありますけど、甲府ほど大きくはないでしょう。
やはり甲府にいたからこそ宝飾の仕事に就いたのかなという気はしますね。
会社の特徴
素材からすべて、品質へのこだわりが特徴だと思います。
特に真珠は出来る限りよい品質のものを使いたい。
価格帯は抑えて、品質のよいジュエリーをお客様に届けたい。
よい素材を使って、つくりもきちっとしたジュエリーを正しいルートでご提供していく。
この想いは強いですね。
企業として何をやっていくかだと思いますが、どの価格帯でも品質の高さを追求していきます。
企業風土
私は、ジュエリーを通してお客様に「喜びと豊かさと夢を」感じていただきたいと考えています。
それは社員に対しても同じです。
「いいものができたな」という作る喜び、その中で気持ちの充実や豊かさを感じてほしいと思っています。
社員が心に余裕を持てる、気持ち良く働くことができる環境を心掛けています。
仕事の中にも楽しみはあるけれども、それだけではなく自分がいかに様々な面で豊かになれるか、経済的な部分もあるでしょうが、気持ちの面の豊かさを社員にも感じてもらえるような環境を作りたいですね。
やはり「企業は人なり」ですから。
社員教育
製造工程では、デザイン・地金の加工を行う工芸部・パール選別と最終工程の真珠の取り付けを行う部門があります。
現在工芸部には5名在籍しています。工程毎に専門の職人が作業する分業制のところも多いですが、私たちは、ひとりの職人がろう付け、石留め、磨き、仕上げまで地金部分の全工程を行う体制をとっています。
分業制の方が効率は良いかもしれませんが、それでは「自分で作りあげた」という喜びを実感できないのではないかと思うからです。
全工程をひとりで行うことによって職人のモチベーションや商品に対する意識も変わります。
私は、自分で作ったジュエリーは自分で売ることが商売の基本だと思っています。
自分の作ったジュエリーが売れてお客様に身に着けていただくことはやっぱりうれしいですよ。
また全ての工程ができるようになれば、職人の技術レベルもおのずと上がっていきますしね。
社員は3:2くらいの割合で女性の方が多いんですよ。
みなさん優秀ですよ。それぞれ担当している仕事をよくわかっていて自主的に動く。
私としてはせっかくここで働いてくれるのなら、長くいてほしいと思っていますね。
人材育成
一企業としてできること、山梨県水晶宝飾協同組合として全体でできることがあると思いますが、人材育成は急務です。一歩間違えれば、技術の伝承ができないくらいギリギリの段階に差し掛かっていると思います。
行政にサポートをお願いしていますが、なかなかうまくいっていないのが現状です。
私は職人さんの給与や待遇が低すぎることも人材離れの一因だと考えています。
昔は親方に弟子入りして数年かけて一人前になったら親方から仕事を回してもらうという形でした。しかし今、そのような働き方では、若者はこの業界に入ってこないでしょう。
いくら職人の仕事が好きでも、安心して生活ができないのなら職人を選ばないのではないでしょうか。
どうすればこの状況を改善できるのか?
企業が職人を社員として雇い、安定雇用に結び付けることで可能だと考えています。
職人としていい仕事をしてもらって、その人が満足できる生活を保障することで、この業界で仕事をしたいという人材も増えると思います。
「こうふ開府500年」に向けての想い
「こうふ開府500年」は、甲府市がどんな歴史を経て綿々と続いてきたのか、その歴史の上に今の自分たちがいることを認識するいい機会だと思います。
みんなが意識すれば、そこに郷土愛が生まれてくるのではないでしょうか。
その気持ちが大切だと思いますね。
話が大きくなってしまいますが、「ここに歴史があってこそ自分たちがいる」という意識は、「他の人にも自分と同じように歴史がある」という他者を尊重する気持ちに広がって世界平和に繋がっていくんじゃないかな。
販路の拡大、海外市場に目を向けて
人口減少による国内市場の縮小についてはどの業界でも言われていることですが、やはり海外に販路を求めざるをえないですね。
日本の宝飾品の信頼性は、海外でも評価が高いです。日本は手作りできちっと作っているという良いイメージを持たれています。「間違いのない品質で嘘がない」ことが、「メイド イン ジャパン」の商品への信用に繋がっています。
海外での展開が利益を生み出し、職人さんの給与、暮らしの向上につながり、循環していけるようにしていきたいですね。
これからの甲府市のジュエリー業界について
ジュエリーは人を喜ばせるものだと思います。
人が喜ぶ商品を作るには、作る側も誠実に作っていかなければなりません。
品質に嘘ごまかしをしない。
嘘ごまかしなく、誠実に作ったジュエリーを「いいものはいい」といえる点をアピールしていくことが今後必要だと思います。
万人に「これは美しい」と思わせるようなジュエリーを作りたいですね。
「これはいくらだ」と価格で評価されるより「これはしっかりしたものだ」と品質を評価されるジュエリー。
見ているだけでうれしくなるような本物のジュエリーを作りたいと思っています。
会社の未来について
中込宝飾は父が職人として起業し、その後兄が会社組織として創業しました。そして私へと受け継いできました。
まだ後継者は決まっていないですが、事業を存続していってほしいですね。
商品を選んでいただいたお客様が中込宝飾の商品を買ってよかったと思ってもらえるような、また、企業同士だったら関係を持って良かったと思ってもらえるような誠実な企業でありたいと思います。
ジュエリーは夢ですから。
お客様も社員もそして私自身も、いつもの生活の中に夢があって、心にゆとりがあって、夢を持ちながら明るく楽しく…そんな企業でありたいですね。