大進自動車工業有限会社
坂下賢次さん
職歴:5年目
ご本人の仕事内容:自動車の板金塗装
職場での役割:自動車のキズを直す板金と塗装を担当しています。また、次世代を担う若い社員の育成にも従事し、コミュニケーションを大切にしながら分かりやすく技術を指導しています。
坂下賢次さんは、自動車のキズ・へこみを直す鈑金塗装と、若い社員の育成・指導を担当しています。一人の職人として、車と向き合い、お客様に喜んでいただけるよう技術を磨く一方で、若い社員達が楽しみながら働けるコミュニケーションが取りやすい職場環境づくりを目指し日々努力を重ねています。
「思っていることは話をしよう」という社長の方針で、それぞれが考えたことを自由に伝えることができるコミュニケーションが取りやすい職場です。
―入社の動機を教えてください。
動かないバイクを買ってきてバラバラに分解してから、使える部品で組み立て直すのが昔からの趣味でした。小学校の頃は、車やバイクが好きなラジコン・ブーム世代で機械関係は習わなくても得意でした。バイクの組み立ても分解図が載っている本を見ながら独学で勉強しました。
以前は製造業に勤めていたんですが転職をすることになり、好きな車の仕事がしたいと思い、社長と知り合いだった私の兄の紹介で以前から通っていたお店に入社を決めました。
―入社してみて会社の印象はどうですか?
以前から知っていたお店なので働きやすいです。スタッフみんなも元気、という印象は職場になっても変わりません。1台1台依頼どおり、きちんと仕上げてお客様に渡す緊張感は、自分が顧客のときには知らなかった部分ですが、毎日車に触っていられることがとにかく楽しいです。それに「思っていることは話をしよう」という社長の方針もあり、仕事の段取りやスケジューリングについて、それぞれが考えたことを自由に伝えられる雰囲気で、コミュニケーションは非常に取りやすい職場です。
1台1台の車と向き合い、自分にこれが直せるかと自問自答しつつ逃げずに作業する。そうして仕上げ、お客様に喜んでいただくと「やりがい」を感じます。
―現在はどのようなお仕事をされているのですか?
自動車のキズ・へこみを直す鈑金塗装を担当しています。スライディングハンマーでへこみを引張ったり、空気の圧力で歪んだ骨格の形状を戻すなど、1台1台の状態に合わせて判断し、元の状態に近づけた後、パテで埋めてヤスリをかけ、手で触ってもへこみを感じなくなるまで復元します。手の感触が頼りなので初めは難しかったのですが、日々、車体を触って慣れていくと段々に感触がつかめてきました。その後、塗料が付着するための下地処理をした車に塗装ブースでマスキング処理を施し、エアガン(スプレー)で計3回の塗装処理をします。色の調合や人の目に違和感を感じさせない自然なグラデーションの付け方など、繊細な神経を働かせつつ、きれいな仕上がりのためには大胆さも兼ね備えて作業します。
―仕事にまつわる苦労話や、やりがいを感じるとき、心がけていることはありますか?
1台1台の車と向き合い、自分にこれが直せるかと自問自答しつつ逃げずに作業する。そうして仕上げて、お客様に「こんなにきれいになるんですか」と喜びの声をかけていただけると、何とも言えない「やりがい」を感じます。
一方で、苦労といえば、若い社員の育成と指導も私の仕事なのですが、彼らに気づきのきっかけを与える難しさでしょうか。心がけとしては「バカ」になる。本当にバカになるということではなく、ニコニコ楽しませるバカを言える雰囲気をつくる、ということですかね。
気心の知れた地域の人達からの依頼もあり、その人達のために仕事ができる喜びを感じています。
―職場としての甲府の魅力は何ですか?
今、職住接近でとても良い環境で働いています。子どもの学校繋がりで仲良くなった方や消防団の仲間など、気心の知れた地域の人達からの依頼もよくあり、その人達のために仕事ができる喜びもあります。甲府には、地域の人達とのつながりがある。そこが魅力です。
―就職活動をしている方へのアドバイスをお願いします。
自分のやりたい仕事、やってみたい仕事を妥協しないで突き詰めてみることです。たとえ好きな仕事でも壁にぶつかるもの。ぶつかっても諦めるのではなく、まずは周囲に相談する。反面、やりたいと思った仕事でなくても楽しめる要素は必ずある。年数を重ねて見えてくるものもあるので、先入観をもたずに、楽しみを見つけて頑張って欲しいですね。
(聞き手)波木井園子さん
(撮影)芦澤絢名さん